カメラマンから見た自分で作った料理を美味しそうに撮影する方法を紹介したいと思います。
色々なサイトでも料理の撮影方法については書かれているので、ここでは、料理の撮影方法については記述しません。自分で作った料理そのものの見せ方の話です。

食べて美味しい料理と美味しそうに魅せる料理の違いを考える
今回のポイントは、食べて美味しい料理ではなく、美味しそうな料理写真を撮る事がテーマですから、カメラを構える前に料理の見た目を意識して、美味しそうに魅せる盛り付けや皿、背景、食材に注意します。

料理撮影のイメージを考える
自分の作る料理と同じようなプロの料理家の料理写真をネットなどで参考にしながら、盛り付け、皿、背景など検討して、イメージが固まったら準備します。イメージは、和風、洋風、中華だけではなく、地中海のレストラン風とか、アメリカのカントリー風とか、60年代のダイニング風とか、ハワイのレストラン風とか、旅先のイタリアンとか、全体のイメージの演出を指します。
テーブルクロスや皿、旅行先で集めたちょっとした小物、花、海外で買ったおしゃれな調味料入れ、色々組み合わせを試してみると同じ料理でも雰囲気が違って見えます。その為にも、イメージを固めましょう。

緑色の食材は、生はフレッシュに、加熱は半生で魅せる
サラダなどの緑の葉物は、フレッシュでなくてはいけません。特にカメラから撮影する側に魅せる葉っぱ類は、撮影直前までボールなどに水を入れて形の良い葉を選らんでお皿に配置します。傷のあるものは取り除きます。
加熱する緑色の食材は、加熱して色が鮮やかに変わったらすぐに取り出し皿に盛りつけます。

艶のある料理は、刷毛で艶を付ける
油炒めや肉料理など艶のある料理で見た目、艶が足りないと感じたら刷毛にサラダ油をつけて調理された食材に塗ります。一度に塗らず部分的に感じをみて徐々に付け足していきます。
油以外に、照りのある料理は、盛り付け後、照りの足りないカメラから見える部分に刷毛で残ったソースを刷毛で少しずつ塗り足します。見た目、料理の照り、艶が出たらOKです。

複数の食材を使った炒め物は、色のバランス良くちりばめる
一つの食材が皿の上の一か所にかたまって配置しないように、片寄りなく箸で配置します。カットされた食材によっては、配置する向き(角度)によっても美味しそうに見えたり、何の食材だかわからない向きもあります。バランスだけでなく、一つひとつの食材の角度にも配慮し料理をより美味しく魅せます。

タレ、ソースのかけ方
プロの料理人と一般の方で差の出やすいのが、タレ、ソースのかけ方です。タレやソースは美味しそうに魅せる料理の魅せ場です。自分の作る料理に似たプロの料理人の料理をネットなどで参考にしながら慎重にかけます。一度ではうまくいかないので、タレやソースはやや多めに作っておきます。自分でタレ、ソースが思うようにかけ易い道具(スプーン、オタマなど)を試してみるのも良いかもしれません。

ワンポイントの木の芽、ゴマ、小葱のかけ方
料理を引き立てる為、最後のワンポイントの仕上げ方で更に美味しく魅せるはずですが、これもプロの料理人と一般の方で差が出るところです。
木の芽は、撮影直前まで水に漬けておいてフレッシュな状態で使用します。形の良いものを選んで配置する向きも考えましょう。ゴマや小葱も料理にかける時に全体にかけ過ぎないように、皿の空いた部分までかからないようにします。

いくつか形の崩れた料理は
例えば肉で野菜など巻いた料理で、形が崩れてしまったものは、形の崩れていないものを手前に配置して、崩れたものは手前の形の良いもので隠します。ボリューム感を無くさずに見た目の美味しさが出せます。

縦に映る食材は、斜めかやや横に
皿に盛りつけた料理、食材の一部にカメラからみると縦に配置されている食材があれば、その角度を斜めかやや横に配置しなおします。料理を写真で写した時、食材の一部が縦(垂直)に配置されたものは、妙にそこだけ目立ちます。角度を変えてあげましょう。真横というのも変なので、やや斜めがちょうど良いでしょう。

湯気の出る料理は、ぬるめに
ラーメンや鍋物など湯気の出る料理の場合、ぬるめに作ります。湯気があるとカメラのレンズが曇ったり、食材が撮影中に伸びたり変化していくのを防ぐためです。雑誌などのラーメン写真は、全部、ぬるいラーメンを撮影しています。
どうしても湯気の感じを撮影したい時は、離れて望遠で撮影するか、プロカメラマンの場合は、ぬるい料理で撮影し、フォトショップの画像処理(湯気のプラグイン)で湯気を足します。湯気の量を自由に調節できるのが、実際の湯気との違いです。本当の湯気だと調節が出来ません。

お皿
料理が完璧でも、その料理に合う皿とそうではない皿があります。いくつか試してみると良いでしょう。私が以前、撮影で困った皿は、とても横長なフランスパンのように長い皿に乗った料理と、正三角形の皿の料理、おしゃれなフランス料理店などで使われる大きな白い皿で真ん中がとても小さくくぼんでいてそこに料理のある皿がとても撮影しにくかったものです。

ここまでやると、もはや食品メーカーの調理例の写真撮影レベルですが、カメラを構える前に可能な範囲内で取り入れると確実に美味しそうな料理写真が撮影できます。