撮影前にカメラマンがお聞きする事

撮影と言ってもポートレート撮影や料理撮影、取材撮影など色々な写真撮影がありますが、今日は撮影の前にカメラマンからお客様にお聞きする事をまとめてみました。

「どうしてそんな事を聞くのだろう?」と思う方もいらっしゃるかと思います。何故かと言うと、写真のご利用目的に合わせて、カメラ設定やそれに必要な機材の準備、また、ご希望に合わせた撮影後のデータ処理や納品データを作成する為です。

それによって撮影料金が変わる事は、まずありません。(※極端に撮影の手間や時間、お金の掛かるセットが必要などの内容であれば別料金が発生する事もあります。)

撮影前のご質問内容は

  • 写真のデータサイズは?
  • 縦位置で撮るか、横位置で撮るか?
  • SNSやHP、プリント用か、それとも印刷用か?
  • 既に決まっているフォーマットに合わせて撮影するのか?
  • ご希望の写真イメージ(こんな感じの写真)があるかどうか?
  • 角版かキリヌキか?
  • 全身か、バストアップか、顔のアップか?
  • 撮影で気になる点があるか?
  • 白バックか?雰囲気のあるイメージ写真っぽくするのか?
  • いろいろと撮影して、後からその中で選びたい?

写真のデータサイズは?

カメラ側の設定で、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズと3段階に分かれていて、Lサイズを設定すると大きなポスターサイズ対応までの写真データが撮影できます。大きなLサイズで設定したデータは、1枚、1枚のデータサイズが大きくデータのやり取りやパソコンでの表示が重いなど、その後のデータ取り扱いに不便です。

縦位置で撮るか、横位置で撮るか?

横位置で撮影した写真データを、撮影後にトリミングで縦位置にする事も可能ですが、サイズが小さくなってしまいます。画質も下がるでしょう。写真を横で使用する時は、横位置で撮影。縦で使用する時は、縦位置で撮影するのが一番です。縦、横、決まっていない場合は、事前にお伝えください。できるだけ縦、横、両方で撮影します。

SNSやHP、プリント用か、それとも印刷用か?

一般的な利用(SNS、HP、プリント用など)は、カメラ側の設定をsRGBにします。印刷物の場合は、AdobeRGBに設定しています。AdobeRGBでカメラの設定をすると、全体に落ち着いた控えめの色で撮影されます。印刷物の色表現に合わせた設定だからです。HPの場合は、sRGBなので、鮮やかな色が表現できます。sRGBは、印刷物用のAdobeRGBと違って表現できる色数は少ないのですが、ディスプレイなので、後ろから光が当たって色が見える為(透過光)、鮮やかな緑やブルー、レッドなど、4色で色を掛け合わせて表現する印刷物(反射光)とは色の表現、再現性が大きく違います。

では、sRGBで綺麗なデータを納品すればいいのかというと、画面上はキレイな写真、色でも、印刷すると濁った落ち着いた色合いの写真になります。パソコン画面で見ていた写真とは全然違うでしょう。
その実際の印刷物との色の差が少ないのが、AdobeRGBでの写真撮影なのです。パソコン画面で見ていた写真でも落ち着いた色合いで、その範囲で紙面で表現したい色に近づけていきます。

既に決まっているフォーマットに合わせて撮影するのか?

デザインのフォーマットが決まっていれば、それに合わせて撮影してきます。過去の掲載例を拝見させていただければ、分かりやすいです。

ご希望の写真イメージ(こんな感じの写真)があるかどうか?

他の写真でもイメージに近い写真があればとても分かりやすいです。また、その写真のどの辺のイメージがご希望なのか?もお知らせください。それだと間違いなく撮影イメージに近い写真が撮れます。

角版かキリヌキか?

角版かキリヌキとも印刷業界用語ですが、角版と言うのは、写真を四角や長方形、横長で使う場合を言います。キリヌキと言うのは、写真を使いたい部分、必要な部分(人物だけ、モノだけとか)を撮影データを元に後で切り抜いて使う事を言います。
例えば、人物を角版で使用する場合、背景にも気を使って撮影します。逆に商品をキリヌキで使用する場合は、その商品をもっともキレイな状態で撮影する為、まわりに黒い紙を置いて立体感を出したりすることもあります。その為、キリヌキ用に撮影された商品撮影などでは、商品のすぐ横に黒い紙が写っていることがあります。商品をイメージっぽく撮影してほしい時は、カメラマンに「角版でイメージ写真」とご指示してください。

全身か、バストアップか、顔のアップか?

撮影現場では時間が限られています。もし、バストアップの写真しか使用しないのであれば、その旨をご指示ください。その際、バストアップだけでバリエーションを撮影していきます。全身、バストアップ、顔のアップ、すべてが必要な場合は、それなりに撮影時間が必要になります。

撮影で気になる点があるか?

気になる点があれば、お気軽にお伝えください。可能な事は出来るだけ対応いたします。撮影が終わりかけの時よりも早めの方が良いでしょう。

白バックか?雰囲気のあるイメージ写真っぽくするのか?

撮影前に事前にお伝え戴ければ幸いです。事前に準備する撮影機材が全然違う為です。設置や撤去に掛かる時間も変わってきます。雰囲気のあるイメージ写真っぽい写真をご希望の場合は、絵になる背景を考えなくてはいけません。場合によっては撮影用の小物も必要になる事もあります。

いろいろと撮影して、後からその中で選びたい?

大まかなご要望をお聞きして撮影を進めていきます。その都度、撮影した写真を確認していただき撮影を進めていきます。最後に撮影した画像を確認していただき、撮り漏れがないかをご確認していきます。もし追加があれば、その場で追加撮影を致します。

実際こんなに色々とお聞きする事は無いのですが、色々な例があって、
例えば、

ある企業のユーザー事例を紙面で紹介する為のインタビュー撮影だったとします。この場合だと、ご担当者からユーザー事例のインタビュー撮影で、過去の紙面例をPDFでお送り戴ければ、それだけで十分解ります。

逆に、「自分のポートレートを撮影してほしい。」とのオーダーであれば、上記のような幾つかのご質問をすると思います。

撮影のご要望はケースバイケースなので、最終的にどういう写真データがご希望なのか?が判ればそれだけで十分です。すべてスムーズに行くでしょう。ご希望通りの仕上がりとなります。