通常プロカメラマンの場合、撮影依頼でお店から「湯気が出ているような料理写真をお願いします」と頼まれると、「ぬるめか、冷めた料理でお願いします」とお答えいたします。本当に湯気のでている出来立ての料理を撮影する事はあまりありません。何故なら、湯気が出ているという事は、本番の撮影時間が極端に短いという事になります。ベストなタイミングは、1分から3分程度でしょう。加熱中の料理はどんどん食材の色や形が変化しますから、湯気がでている状態は撮影時間が短いので撮影に向いていません。

その為、熱い料理でも温い料理を作ってもらい見栄え重視で撮影します。鍋料理を例にすると、ニラや水菜はシャキシャキした緑色の綺麗な状態で撮影した方が見栄えが良いです。本当に湯気の出ている状態なら、この緑もどんどんと色が変わりすっかり茹で上がった水菜になります。

そこで、プロカメラマンの場合は、通常、湯気の表現は後付け、つまりぬるい湯気のない料理写真に、パソコンの画像処理で湯気を付け加えます。これであれば、湯気の感じ、湯気の多い、少ないを自由にコントロール出来ますからとても便利です。本当の湯気であれば、どの程度の湯気が出るのか、その場での湯気の出具合のコントロールが難しいと思います。後処理、画像加工のほうが断然、やりやすいと思います。

湯気のない元写真

料理の撮影後、湯気を画像加工で付けた場合

湯気の感じをもう少し付けたいと言われれば、すぐに対応できます。

真俯瞰のアングルから湯気の出ている料理の場合

実際に湯気の出ている料理を真俯瞰で撮影する事は、カメラのレンズが湯気で曇って撮影出来ないため、そのような場合は、冷めた料理に、後で湯気を付け加えます。
料理はのっていませんが、空の皿で説明します。

料理の盛っている皿だと思ってください。

これに撮影後、画像修正で湯気を付け加えます。

判りやすいように、湯気を濃いめに付け加えています。
真俯瞰の料理に湯気を付け加えると、やや料理が湯気が邪魔でみえにくいという事も、湯気をややボカせば湯気らしく見えるでしょう。