撮影イメージをカメラマンに上手く伝えるには

カメラマンの立場から、写真の撮影イメージをカメラマンに上手く伝える方法をご紹介します。

頭の中のイメージを他の人に伝えるのは、とても難しい事です。そのイメージがハッキリしていれば伝えやすいかもしれませんが、「何となくこんな感じ」と言った抽象的な表現では、伝わりません。そのイメージに一番近い資料写真を見せるか、もしくは簡単な絵を描いて説明するのが良い方法です。絵が上手くない場合でも、抽象的な表現よりは良いと思います。絵が上手いかどうかは関係ありません。

イメージに近い資料写真を見せて説明する
簡単な絵を描いて説明する

簡単な手書きの絵を見てカメラマン側が気付く事も良くあります。横位置だと思っていた撮影が、縦の絵で描かれていた。とか、写真の真ん中にコピーが入るデザインだったとか。本人は分かっていても、それを伝えていなかったり、絵に書く事で具体的な撮影イメージが解ってくるものです。話しを聞いていたイメージと書いていた絵とのギャップがかなりある場合もよくあります。

素材写真を参考イメージに見せるのが良いとは限らない

素材写真などで、「こんなイメージで」と説明を受ける事はよくあります。
上の文章で、「イメージに近い資料写真を見せて説明する」と書きましたが、素材フォトの写真を見せてくれることもあります。しかし、撮影現場とイメージ資料の写真がギャプがありすぎると、撮影現場がそれとどこも似ていないので困る事もよくあります。素材写真のお洒落な写真は、プロのモデルさんがお洒落なスタジオなどで撮影したものです。一般の方を撮影する場合は、撮影に慣れるまで時間がかかったり、お洒落なイメージにならなかったりします。(時間をかけて撮影すると自然なポーズで撮れる事もあります)

その資料写真のどこの部分がイメージに近いのか

カメラマンへイメージに近い資料写真を見て説明する場合には、具体的に、この資料のどこの部分が頭の中のイメージに近いのか、どこの部分が関係ないイメージ、変えても良いイメージなのか?などイメージを固めていきます。

例えば
全体の色のバランスがこのイメージに似ている
・撮影の仕方?レンズのボケ具合
・アングル
光の当たり具合
・シチュエーション
・構図
・背景のイメージ

などでしょうか。
撮影の仕方?レンズのボケ具合?でこんな参考写真のイメージと言ってもらえれば、カメラマンなら、ボケのキレイな単焦点レンズの明るいもので絞り開放ぎみで撮影するでしょう。

撮影イメージ、どう伝えるの?

撮影現場で、テスト撮影を何回か繰り返してイメージに近づけるのが一番だと思います。

そこで、この状況下で出来る事、出来ない事を理解して、その状況下でどうイメージに近づけるか?を検討して撮影することだと思います。(カメラマンによっては、何度も撮り直すのを面倒がるカメラマンもいます。色々考えてから発注しましょう)


カメラマンに対して撮影のイメージが上手く伝わらないまま撮影に入ると、ライティングや露出、構図などゼロからやり直しになるのでとても時間がかります。ライティングが変わると露出計算が変わります。

最初に考えていた参考イメージ写真と、実際にそのイメージに合わせて撮影しようとする物との差がかけ離れていると、思っていたイメージにはならない事もよくあります。最初の打ち合わせで、なるべく頭の中のイメージを実際の撮影する物と置き換え想像しながら詰めてカメラマンと話し合う事が良いでしょう。

撮影イメージによっては、必要な撮影機材が異なる事があります。そのイメージに必要と思われる機材が無いと思ったイメージに近づきません。事前にイメージを伝える事が良いでしょう。そうすれば、カメラマンもそれに必要な機材を準備できます。

スマホで撮影してくれた写真も分かり易い

私がスマホで撮影した写真なんですけど、、、」とこんなイメージでと見せてくれる場合もあります。

イメージが、分かり易いです。

もし、スマホで撮れるようなものであれば、カメラマンにはとても分かり易いと思います。他の素材写真よりもイメージが伝わるでしょう。補足で、「本当は、この写真よりこうしたかった、ああしたかった」と付け加えても良いでしょう。

スマホで撮った写真だけでは伝わらない場合

スマホで撮った写真を、「こんな感じで撮影お願いします」と言われる事が時々ありますが、ところで、この写真のどこがこんな感じをイメージしているのかが判らない時があります。

この写真のトリミングの事?
この写真のアングルの事?
この写真のボカシ具合の事?
この写真の色味?

「こんな感じで撮影お願いします」

「えっ?
何でしょう?」

「この写真のアングルですか?」

と聞き返して、この写真の求めているイメージを確認する事があります。
これはとても重要で、求めているイメージが違えば上手く行きません。

つまり、この写真の何?どこ?

スマホ写真のイメージ、分かり易い様で、どこが?と言うのが良くあります。

スマホで撮った写真を見せる時には、必ず、この写真の「こんなアングルでお願いします」と付け加えると分かり易いです。
「こんなアングル」の部分は必要に応じて差し替えてください。
カメラマンにイメージをハッキリと伝える事で、よりイメージに近い写真となります。

イメージが伝わったからと言って、そうなるとは限らない

残念な事を言いますが、イメージがカメラマンに伝わったからと言って(多分、わかってくれたんじゃないかな~)思ったような写真になるとは限りません。

何故なら、そもそも、そのカメラマンのセンスにそのイメージは合わない場合もあるからです。カメラマンによって撮影する写真の個性というか、写真のセンスなど当然違います。センスや個性、感性は撮影される写真にも出ますので、いくらイメージを伝えたとしてもそうならない場合もあります。そうなると撮影するカメラマン選びから考えた方が良いでしょう。このイメージのセンスの判るカメラマン選びという事です。イメージしていた写真とそのカメラマンが撮影した作品例などを比較してセンスがズレているなら他のカメラマンを当たった方が間違いないです。

10人のカメラマンに同じ説明をしてもイメージ通りに撮影できるのは2人ぐらい

伝えるのが難しいイメージの場合、私の感覚ですが、イメージをカメラマンに伝えてそのイメージ通りに撮影できる人は10人中2人ぐらいだと思います。それ位、イメージを伝えてその通りに撮影するのは難しいものだと思います。また、10人の内、2人がそのイメージ通り、思った通りに撮れたからと言って、別の仕事でも同じように撮れるとも限りません。難しいものです。