以前、誰かが「最近のカメラは性能が上がっているので、シャッターを押せば、誰でも綺麗な写真が撮れます」と聞いた事があります。多分、その方の言いたかった事は、「誰でも気軽に良い写真を楽しめるようになったので、写真を撮って楽しみましょう」という意味だと思います。

写真家としての私がその言葉を聞いて、何か引っ掛かったのが、「シャッターを押して、誰でも綺麗な写真」という所でした。カメラマン、写真家としては、どうしても引っ掛かるのです。偶然などはありあえません。常に写真の事を考え、新しいアイデアで頭の中でシャッターを切っています。そこで、この文のタイトルに戻りますが、「写真の出来は99%シャッターを押す前に決まっている」と言う事についてお話します。

シャッターを押す前に、準備が必要です。

新しいアイデアで撮影しているか?
何を撮りたいのか、それをどういう感じで撮ろうとしているのか?
それを撮るために、どこへ行ったら撮れそうなのか?
その場所のどこから撮れば一番いいのか?
いつの時間なら、そういう写真になるのか?
どんなレンズで撮ると、思っていた写真になるのか?
どういう撮り方、絞り、シャッタースピート、フィルター、アングルが良いのか?
遅いシャッタースピードが良いのか?速い方が面白いのか?
わざとブラしたらどうか?
その時の天気予報はどうなのか?
カラーが良いのか?モノクロか?
縦か横か?

ぶらりと出かけて、良い物があれば撮ると言う事はまずありません。以前はそういう撮り方をしていましたが、今はしていません。殆どの場合、頭の中でイメージが固まってから撮りに行きます。カメラを持たずにぶらりと出かけて散歩する事はよくあります。面白そうなものや風景があると頭の中でシャッターを押します。良さそうであれば、カメラを持って同じ場所で撮影します。

シャッターを押す事は、写真撮影のごく一部にしか過ぎません。写真撮影の殆どは、前段階でどういう写真になるかが決まります。頭の中でシャッターを切って、良くなければ撮影はしません。良いと思った時だけ撮影します。

よく何枚もシャッターを切る人がいますが、私の場合は、なるべく少ない枚数で撮影を完成させるようにしています。それは撮影が雑になるような気がするからです。沢山の枚数を撮ったからと言って良い写真が撮れるとは思えません。シャッターを押す前に考える事が十分整理されていれば、少ない枚数で良い写真が撮れると思います。その為に何度も頭の中でシャッターを切ります。